「理学療法士が一般企業に転職なんてできるの?」
「臨床をやめたら、今までのキャリアが無駄になりそう」
「でも、このまま現場を続けるのもしんどい」
医療の世界では、現場を離れることを極端に恐れる空気がありますよね。
私自身、臨床の現場で悩み続けて「もうやめてやる」と思ったことがあります。
そこで思い切って、一般企業向けの転職エージェントに登録しました。
登録してみると、靴メーカーの営業や大手人材企業のマーケティング職など、想像もしていなかった求人からオファーが届きました。
副業で続けてきたブログが評価されて、Webサイト制作の求人を紹介されたこともあります。
ただ、結論から言うと、私は一般企業に転職しませんでした。
それでも、この転職活動をして本当によかったと思っています。
この記事では、私に実際に届いたオファーや求人と、一般企業以外の道を選んだ友人3人の例、そして私が転職しなかった理由まで正直に解説します。
読み終わる頃には、「理学療法士には臨床しか道がない」という思い込みがなくなり、現場を続けるか離れるかを自分で選べるようになります。
臨床を続けることに悩んでいる人は、ぜひ最後まで読んでください。
理学療法士の経験は、臨床の外でもちゃんと武器になります。
- 理学療法士から一般企業への転職は、求人の数から見れば難しくない
- 営業・開発・CRC・Web制作・マーケティングなど、届いたオファーの幅は想像以上に広い
- 評価されるのは資格そのものより、コミュニケーション力・多職種連携・PDCAを回す力
- ただし残業は増えやすい。私は求人を見たうえで、あえて現場に残ることを選びました
そもそも理学療法士は一般企業に転職できるのか
「PTから一般企業なんて、本当に行けるの?」と感じている人は多いと思います。
実際には、理学療法士を経て一般企業で働いている人はいます。よくある転職先は、医療機器メーカー、福祉用具メーカー、ヘルスケア系のIT企業、フィットネス関連企業、製薬会社など。いずれも身体や医療の知識が求められる領域です。
ただし、知っておくべき現実もあります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、理学療法士の平均年収は約430万円で、日本全体の平均を下回ります。「一般企業に行けば給料が上がるかも」という期待は間違いではありません。ですが準備なしで飛び込むと、未経験の新人扱いとなり、逆に年収を下げてしまうケースもあります。
つまり、行けるかどうかではなく、どう準備するかが分かれ道になるということです。
大切なのは「PTを辞めるか続けるか」ではなく、「自分の強みをどこで活かすか」という視点です。
「PTから一般企業は難しい」と言われる3つの理由
理由①:資格をそのまま活かせる求人が少ない
理学療法士の求人のほとんどは病院・クリニック・介護施設です。一般企業で「理学療法士資格必須」の求人は、医療機器メーカーやヘルスケア系企業などに限られ、数が多くありません。
自分で求人サイトを検索しているだけでは、まず見つかりません。ただし、転職エージェントに登録すると話は変わります。後述するように、私の場合は向こうからオファーが届きました。
理由②:ビジネススキルの経験が積みにくい
病院で働いていると、Excelでの資料作成、営業、マーケティングといった一般企業で当たり前のスキルに触れる機会がほとんどありません。後述する営業職に転職した友人も、「PTの知識は評価されたけど、事務スキルは入ってから本当に苦労した」と話していました。
理由③:周りにロールモデルがいない
職場の先輩はみんなPT。一般企業に転職した人が身近にいないため、「自分にできるのか」の判断材料がなく、不安だけが膨らんでいきます。
「難しい」の正体は、能力不足ではなく情報不足と準備不足です。 ここを埋めれば、道は開けます。
【体験談】私が一般企業への転職活動を始めた理由
私が現場に限界を感じた理由は、大きく2つあります。
1つ目は、評価制度が曖昧になりやすいことです。
勉強会に通っても、技術を磨いても、それが給料や立場に反映されるとは限りません。
何をどれだけがんばれば認めてもらえるのか、基準がはっきりしないのです。
2つ目は、丁寧にリハビリをする人より、気持ちのいいマッサージをする人のほうが喜ばれやすいことでした。
機能を改善するために必要な運動を選んでも、患者さんの満足度は上がらないことがあります。
正しいことをしているはずなのに、評価されない。
この2つが重なって、私は「もうやめてやる」と思いました。
同じように感じている人に、はっきり伝えたいことがあります。
あなたが評価されないのは、能力が足りないからではありません。評価する物差しが、たまたまその職場になかっただけです。
物差しが違う場所を見てみよう。そう思って、私は一般企業向けの転職エージェントに登録しました。
【体験談】私に届いた一般企業のオファー・求人5選
ここからは、私自身に実際に届いたオファーと、紹介された求人を紹介します。
「理学療法士に一般企業の求人なんて来るの?」と思っている人ほど、読んでみてください。
① 営業職:靴メーカー・医療機器メーカー
一番多く届いたのが、営業職のオファーです。
中でも目を引いたのが、靴メーカーでした。
足部や歩行の知識が、そのまま商品の説明につながります。歩き方や体の使い方を説明できる人が欲しかったのだと思います。
医療機器メーカーからのオファーもたくさんありました。リハビリ機器を扱う会社であれば、臨床で使った経験がそのまま話せます。
臨床で当たり前にやっている説明は、企業から見れば「専門家の言葉」です。
② 開発職:医療分野の製品・サービス開発
医療分野の製品やサービスを開発する求人もありました。
現場を知っている人の意見を求めている会社がある、ということです。
③ CRC(治験コーディネーター)の求人
CRC(治験コーディネーター)の求人も届きました。
治験に同行して、データを集める仕事です。医師とコミュニケーションを取りながら進めていきます。
これは理学療法士にとって、かなり近い仕事だと感じました。患者さんの状態を観察して記録し、医師とやりとりする。
毎日カルテに向かってやっていることが、そのまま職務内容として書かれていました。
④ Webサイト制作:副業のブログが評価された求人
アフィリエイトブログの運営経験が評価されて、Webサイト制作の求人を紹介されました。
評価されたのは、継続力です。記事を書き続けてきたこと自体が、実績として見てもらえました。
もう1つは、マーケティング力です。ブログは、どんな人が何を知りたいのかを調べてから書きます。その市場調査の経験を評価してもらえました。
臨床と関係のない経験でも、続けてさえいれば誰かが評価してくれます。
⑤ 大手人材企業のマーケティング職
大手人材企業からは、マーケティング職のオファーが届きました。
飲食店や美容系の店舗に対して、集客の相談に乗る仕事です。ここでもブログでの集客経験が評価されました。
さらに、理学療法士という仕事そのものも評価されました。人の悩みを聞いて、原因を探して、解決策を提案する。
理学療法士は毎日、人の悩みを解決している職業です。業界が変わっても、この順番は変わりません。
【周囲の例】一般企業以外の道を選んだPT3人
ここまでは私自身の体験談です。ここからは、私の身近にいる3人の例を紹介します。
私が受け取ったオファーとは別の話として、参考程度に読んでください。
例①:医療機器メーカーの営業に転職した友人
一般企業転職の成功例です。彼は医療機器メーカーの営業として働いていますが、理学療法士としての詳しい知識がそのまま評価されています。 医師や病院スタッフ相手の営業では、製品の説明に解剖学や臨床の裏付けが必要です。現場を知っているPT出身の営業は、話の説得力がまるで違うのです。
一方で彼が苦労したのは事務スキルでした。見積書の作成、社内資料、メール対応。病院では触れてこなかった業務に、最初はかなり戸惑ったそうです。転職前にPCスキルを準備しておくことの大切さが分かる例です。
例②:ヨガ講師として独立した友人
「企業に就職する」以外の道もあります。ヨガ講師になった友人は、身体の専門知識を持つインストラクターとして活動しています。解剖学に基づいた安全な指導ができることは、一般のインストラクターとの大きな差別化になります。
ただし独立は収入が不安定になりやすい道でもあります。いきなり退職するのではなく、副業から小さく始めるのが現実的です。
例③:公務員試験に挑戦中の親友(PT8年目)
もう一人、現在進行形の例です。PT8年目の私の親友は、市役所職員として福祉に関わる仕事を目指し、これから公務員試験に挑戦します。臨床経験を積んだPTが、その知識を福祉行政で活かすという選択肢です。
彼を見ていて感じるのは、8年目からでも新しい道に挑戦できるということ。公務員試験には年齢制限がある自治体が多いので、興味がある人は早めに受験資格を確認しておきましょう。
転職のゴールは一つではありません。企業・独立・公務員、あなたに合う道を選べばいいのです。
転職活動でわかった、一般企業で評価される理学療法士の強み
求人を見ていて、評価されているポイントがはっきりしてきました。
- コミュニケーション力:痛みや動きづらさを抱えた人と毎日話しています。不安を抱えた相手から必要な情報を聞き出す仕事は、そう多くありません。
- 多職種との連携力:医師のような立場が上の人への報告の仕方、確認の取り方を自然に身につけています。
- PDCAを回す力:評価して、仮説を立てて、介入して、また評価する。効果がなければ原因を考えて次の方法を試す。何気なくやっていることですが、これは実はすごいことです。
- 医学・身体の専門知識:解剖学・運動学・疾患の知識は、医療機器・ヘルスケア・フィットネス業界では即戦力級の武器になります。
「自分には専門技術しかない」と思っている人ほど、実は企業が欲しがる力を持っています。
私が一般企業に転職しなかった理由
ここまで求人を紹介しておいて何ですが、私は結局、一般企業に転職しませんでした。
理由は、今の職場が残業ほぼゼロで、家庭と副業の両立ができているからです。
一般企業に移れば、収入は上がったかもしれません。
ただ、入社後しばらくは研修が続きます。その間は副業に使える時間が確実に減ります。
家族と過ごす時間も、ブログを書く時間も削られる。今の私にとっては、収入よりも時間のほうが価値がありました。
もともと私は2年目で、回復期・外来のある大きめの病院から整形外科クリニックへ転職しています。
希望部署になかなか行けない、休みが固定でない、管理職が全て外部採用で出世の道がない、というのがそのときの理由でした。
転職後は整形外科分野に専念でき、入退院の書類業務からも解放され、残業もほぼゼロになりました。
つまり私の場合、「今の職場が嫌」なのか「PTという仕事が嫌」なのかを切り分けたら、答えは前者だったということです。
整形外科クリニックという選択肢については、理学療法士の転職に整形外科がおすすめな5つの理由と選び方で詳しく解説しています。
これは我慢して残ったのとは、まったく違います。
外の世界を見たうえで「残る」と決めたので、同じ職場でも気持ちが軽くなりました。
理学療法士から一般企業へ転職する前に知っておきたい注意点
いい面ばかり書いても仕方がないので、活動して気になった点も正直に書きます。
- 残業は増えやすい:求人を見た限り、残業時間は今の職場より一般企業のほうが多そうでした
- 研修期間は副業との両立が大変:副業を大事にしている人は、入社後しばらくの生活をイメージしてから決めてください
- スカウトの質はバラバラ:誰にでも同じ文面を送っているようなスカウトも届きます。医療の知識もコミュニケーション力も関係のない仕事が混ざっているので、見極めが必要です
届いたオファーの数ではなく、「自分の何が評価されたか」が書かれているかを見てください。
私が一般企業への転職活動で使った転職エージェント
私が登録したのは、マイナビエージェントです。
登録してよかったのは、自分では絶対に探さない業界の求人が、向こうから届くことです。
靴メーカーも人材企業も、自分で検索していたら一生たどり着かなかったと思います。
在職中でも、求人を見るだけなら今の職場には何も起こりません。
医療・介護の中で職場を変えたい人は、PT向けのエージェントのほうが求人はそろっています。私が使ったサービスは理学療法士の転職エージェントおすすめ3選【2026年・実体験】にまとめました。
今日からできる3ステップ
「気になるけど、動く勇気が出ない」という人へ。今日からできることを3つだけ挙げます。
給料なのか、評価制度なのか、人間関係なのか、時間なのか。ここがはっきりしないまま転職すると、同じ悩みを繰り返します。
応募しなくてもかまいません。自分にどんなオファーが届くかを見るだけで、市場価値がわかります。複数登録の考え方は理学療法士の転職サイトは複数登録すべき5つのメリットにまとめています。
私の場合はブログでした。何でもかまいません。続けていれば、それが評価される日が来ます。
「辞める」か「我慢する」かの前に、「知る」というステップがあります。
まとめ:臨床に悩んだら、一般企業の求人を見るだけでも視野が広がる
最後にまとめます。
- 理学療法士から一般企業への転職は、求人数から見ても難しくない
- 営業、開発、CRC、Web制作、マーケティングなど、道は思っているより広い
- 評価されるのはコミュニケーション力、多職種との連携、PDCAを回す力
- 残業が増える可能性はあるので、時間を優先するなら慎重に
- 私は活動した結果、現場に残ることを選んだ
転職活動は、辞めるためだけのものではありません。
自分の価値を確かめて、今の職場を選び直すための行動でもあります。
そして、私が「収入よりも時間」を選べたのは、副業で収入の柱をもう1本つくっていたからです。
副業を始めるなら、まずはブログがおすすめです。初期費用は月1,000円程度で、文章力・マーケティング・PCスキルという「一般企業で求められる力」がそのまま身につきます。詳しくは理学療法士の副業はブログがおすすめな5つの理由をどうぞ。
今の職場を辞める勇気がなくてもいい。まずは、外の世界を見ることから始めてください。

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